薬による前歯の変色
治療の特徴
歯の形成期(永久歯ができあがる過程)において、長期間抗生物質などを服用したり、熱性疾患などを経験すると、歯の表面が形成不全と呼ばれる状態になり、色調に変化をきたすことがあります。
テトラサイクリン抗生物質を歯の形成期(永久歯ができあがる過程)において、長期間服用すると、歯の表面が形成不全と呼ばれる状態になり、色調に変化をきたすことがあります。これをテトラサイクリン症と呼ばれ、歯一本だけでなくほとんどの永久歯に同じ色調の変化がみられます。
歯の根元(歯茎に近い部分)がグレーから茶褐色に変色し、しま模様になるのが特徴です。
軽度の場合はホワイトニングによって改善できる時もありますが、重症の場合には歯を削ってかぶせる治療が一般的です。
治療方法
ラミネートベニア
歯の表面のみ薄く削り、白いセラミックを表面にのみ張り付ける治療法です。
歯を削る量が少なく、白く綺麗な前歯にすることができます。
歯の変色が強い場合や急いで歯をキレイにしたい方はラミネートベニアがオススメです。
ラミネートベニアはこんな方にオススメです!
・あまり歯を削りたくない方
・ホワイトニングでの効果が得にくかった方
・歯のすき間や形、歯並びも気になる方
・歯の白斑(白いシミ)が気になる方
・前に虫歯の治療でつめたプラスチックの変色が気になる方
・いい材質を利用した治療を受けたい方
ホワイトニング
歯の変色が弱い方や歯を少しも削らずに白くしたい方はホワイトニングもおすすめです。
ホワイトニングは歯を削らずに専用の漂白剤で歯を白くする方法です。
当院は歯に優しいホームホワイトニングを導入しており、時間をかけてゆっくり漂白するのでしみにくいのが特徴です。
更に後戻り(色の再吸収)も緩やかなので、長期的に歯の白さを保ちたい方や歯に負担をなるべくかけたくない方にもおすすめです。
ホームホワイトニングの詳細は<こちら>をご覧ください。
症例写真
症例1
生まれつき歯の色が濃い方(テトラサイクリン抗生物質の副作用)で、見た目が悪いという審美障害があり、きれいになりたいとのことで、当院へ来院されました。
歯の色がグレーから茶褐色に変色しており、ホワイトニングでは無理と判断し、上前歯の6本をラミネートベニアにて治療しました。
大きな口をあけて笑えると、喜んでいただけました。
術前写真
術後写真
症例2
生まれつき歯の色が褐色でしま模様があり、目立たないようにする方法はないかと相談され、当院へ来院されました。
しま模様は多少残ると思われるが、ホワイトニングでもかなり改善できる可能性があると判断し、上下前歯の12本をホワイトニングにて治療しました。
多少しま模様は残ったものの全体としてはとてもきれいになったと喜んでいただけました。
術前写真
術後写真
症例3
生まれつき歯の色が茶褐色でしま模様もあり、改善できる方法はないのかとのことで、当院へ来院されました。
しま模様は多少残ると思われるが、ホワイトニングでもかなり改善できると判断し、上前歯の6本をホワイトニングにて治療しました。私の予想以上に改善できました。
とてもきれいになったと大満足していただきました。
術前写真
術後写真
歯の変色の原因は何が考えられますか?
テトラサイクリン歯
テトラサイクリン歯とはテトラサイクリン系抗生物質により変色した歯のことを言います。
歯の形成時期(0~12歳ごろ)に大量にとると副作用として歯が変色します。
テトラサイクリン系の抗生物質は昭和40年頃に風邪薬として使用されており、この年代で生まれ育った人にテトラサイクリン歯の方が多く見られます。
もともと黄色味を帯びているテトラサイクリンが歯の象牙質のカルシウムと結合し沈着、更に歯が紫外線に当たることにより段々と色が濃くなっていきます。
エナメル質形成不全(石灰化不全)
歯は顎の中で作られており、その作られる間に何かしらの影響を受け乳歯もしくは永久歯のエナメル質(歯の表層)がうまく形成されない歯をエナメル質形成不全(石灰化不全)と言います。
歯の成長期に病気などで歯の成長が一時的に阻害された場合、もしくは乳歯のむし歯の影響やぶつけるなどの外傷の影響で起こる原因が考えられます。
軽度であれば着色がある程度ですが、中等度になるとむし歯のように穴があいている場合もあります。
失活歯(神経が死んでしまった歯)
歯をぶつけてしまった時や外傷などのなんらかの影響で神経が死んでしまった歯(失活歯)は時間とともに段々黒ずんできます。
失活歯を白くするためには外からのホワイトニング、内部から行うインナーブリーチ、補綴処置で白くするラミネートベニア・セラミッククラウンなどがございます。
歯の状態やぶつけた時期、顎の骨の状態などにより治療方針を絞っていきますので、神経が死んだ歯の変色が気になる場合は歯科医院へご相談にいらしてくださいね。
薬による変色した歯は保険で治療できませんか?
保険診療でできる治療内容は国で決まっております。
部分的な変色やむし歯を伴う変色の場合はコンポジットレジンという材料を使用して保険内で治療することは可能です。
ただレジン治療後すぐはとてもきれいですが、長期的に使用すると変色する可能性が高いです。
審美的にキレイで長期的に白い歯を保ちたい方は自費診療のラミネートベニアやホワイトニングなども視野に入れて、ご検討いただけると治療の幅が広がります。
ご料金なども合わせて歯科医師、歯科衛生士とともに一緒に考えていきましょう。
歯の変色はクリーニングで落とせませんか?
毎日の飲食やタバコのヤニ・茶しぶなどで歯の表面に沈着する汚れは「ステイン」と呼ばれ、歯科医院の専門的なクリーニングで落とすことができます。
しかし上記で挙げたような薬や病気により変色してしまった歯は、歯の内部の変色なのでクリーニングで落とすことができません。
軽度の変色であればホワイトニング、変色が強い場合はラミネートベニアなどの補綴処置で歯を白く審美的にすることができます。
歯の白い点々も変色ですか?それも綺麗になりますか?
歯の表面に白く斑点(ホワイトスポット)がある方も多くいらっしゃいます。
この白い斑点は歯のエナメル質が形成される時期に大量にフッ素を摂取するとできる可能性があります。
白い斑点だけでなく一部が茶褐色に変色することもあり、永久歯が生えてきたタイミングで発見されます。
白い斑点がある方がホワイトニングをすると逆に斑点部分が目立ってしまう場合があるので慎重に施術内容を検討する必要があります。
薄い斑点の場合はホワイトニングで改善する場合もありますので、気になる方はご相談にいらしてください。
薬による前歯の変色でよくある質問
Q.歯が黒く変色しているのですがむし歯の可能性もありますか?
A.歯が黒くなっている所がむし歯の可能性もあります。ただ薬や病気で黒くなっている歯とむし歯で黒くなっている歯は専門的にみると大きく違いがあるので、原因を考えた上で治療方針をご提案させていただきます。
Q.テトラサイクリン歯ですが、ホワイトニングだけで白くなりますか?
テトラサイクリン歯は軽度~重度まで人それぞれです。軽度~中等度の方はホワイトニングの効果も見られやすいですが、中等度~重度の方はホワイトニングだと効果が感じられにくいです。中等度~重度の方は表面を薄く削って張り付けるラミネートベニアの審美歯科治療をおすすめ致します。